シド・ヴィシャスの死から7年経った1986年に公開され世界中で大ヒットを記録、イギリス国内に限らず世界中でセックス・ピストルズの人気を再浮上させた本作。
ピストルズを知らない若い世代にもバンドは広く認知されるようになり、特にラブストーリーという側面においては、恋に身を焦がし薬に溺れて破滅に向かっていくシドとナンシーの姿が強烈な印象を与えた。

シド・ヴィシャスを演じ映画デビューを果たしたゲイリー・オールドマンは本作を機に個性派俳優としての地位を確固たるものとした。
細身のシドに似せるため大幅な減量を行い、シドの実の母親アンに何度も会いに行くなど徹底した役作りで撮影に臨んだ。本作でオールドマンが魅せた演技はファンからも高く評価され、完成した映画を見たシドの母親に「息子が蘇った」と言わしめる程のものだった。

セックス・ピストルズ、また、シド・ヴィシャスにとって有名すぎるシーンの再現は大きな見どころであり、『my way』のプロモーションビデオやテムズ川のボートでのゲリラライブ、剃刀で胸に刻んだメッセージなど、ファンには嬉しい映像が続々登場。オールドマン以外にも、ザ・ストゥージズのイギーポップや、カート・コバーンの妻であるコートニー・ラブなど、豪華キャストが脇役として顔をそろえ、さらには音楽を「ザ・クラッシュ」 のジョー・ストラマーが担当しており、音楽ファン必見の作品である。

しかし一方で、シドとナンシーの死を美化した内容に、セックス・ピストルズのメンバーであったジョニー・ロットンやニューヨーク・ドールズのジョニー・サンダースら、実際にシドと交流があったアーティストたちが辛辣で批判的なコメントを残しており、大きな波紋を呼んだ作品でもある。

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